防塵防水規格のIP66とは?他の規格やおすすめ製品を解説

2025/6/30更新
製品・技術情報監視カメラ

security camera IP66

屋外に機器を設置するとき、防塵防水性能は故障率を左右する重要な指標です。特に防犯カメラやネットワーク機器は長期間稼働させるため、国際規格であるIP等級を理解しておく必要があります。
IP66は粉塵侵入を完全に防ぎ、あらゆる方向から吹き付ける強い水流にも耐えられるため、戸建て住宅から工場設備まで幅広い現場で採用されています。本記事ではIP66の仕組みとほかの等級との性能差、導入時のチェックポイントを順番に解説します。

 

IP66とは?

dustproof waterproof

IP66とは、粉塵が内部に一切入らず、かつ全方位から強い水を浴びても機器が正常に動作することを示す保護等級です。粉塵防護では最高ランクの6、水侵入防護では屋外使用を想定した6を意味しています。

 

洗浄が必要な食品工場、自動車整備工場、海辺の監視システムなど水や塩分が付着しやすい現場で特に重宝されます。

 

一般的なIP54やIP55の製品と比較するとガスケットや筐体構造の強度が高く、長時間の安定運用とメンテナンス負荷の軽減を実現します。その反面、パッキン交換や筐体開封に技術が必要な場合があるため、導入前に保守体制を確認すると安心です。

 

防塵防水のIP規格について

IPはIngress Protectionの略で、国際電気標準会議が制定した防塵防水等級を示します。2桁の数字が外来固形物と水の侵入に対する保護性能を表し、数字が大きいほど耐性が高くなります。

 

IP66のように表記するときは必ず2つの数字が存在し、前半が防塵、後半が防水を示すため、用途に応じてそれぞれを確認することで過剰投資や性能不足を避けられるでしょう。

 

第1特性数字は「外来固形物に対する保護等級」

IP等級の先頭にある第1特性数字は、内部機構へ粉塵や工具が入らないかを段階的に示します。0から6まで7段階あり、6は完全な防塵を意味します。

 

屋外設置の防犯カメラで安定した映像を維持するには、この最高レベルの粉塵保護が欠かせません。特に砂塵や花粉が舞う地域、建設現場、港湾地域ではIP6Xであるかどうかを購入時に必ず確認してください。

 

第2特性数字は「水の侵入に対する保護等級」

第2特性数字は、液体が筐体に侵入し内部基板やレンズを損傷させないかを0〜8まで9段階で示します。6は、あらゆる方向からの強い水流に耐えることが条件です。

 

IPX6を満たす場合は、洗浄ホースの水圧や台風並みの横雨にも耐えられるよう設計されています。ただし完全な水没を想定した基準ではないため、長時間の浸水が予想される場合は後述するIP67以上がおすすめです。

 

屋外や水中に設置されるカメラに必要な仕様は? IP65・IP66・IP67の違い

同じ屋外用カメラでも、設置場所の湿度や水圧、清掃方法によって必要な保護等級は大きく変わります。たとえば戸建て玄関に取り付けるインターホン一体型カメラは、雨樋の下で直接水圧がかかりにくいためIP65で十分でしょう。

 

一方、駐車場や倉庫の外壁に設置するカメラは、横殴りの雨や飛来物にさらされるためIP66が適しています。清掃時に高圧洗浄機を使う場合でも浸水しにくく、内部ヒーターやデフロスターと組み合わせると結露対策としても有効です。

 

さらに橋梁の桁下、造船所、漁港など絶えず波しぶきがかかったり一時的に水没したりする可能性がある場所ではIP67を選んだ方がよいでしょう。

 

設置場所に適した仕様の判断が難しい場合は、専門業者に相談すると、専門家の知見を元に適したカメラの選定、設置が期待できます。

 

防犯カメラの防塵防水等級の選び方

How to choose

防犯カメラを選ぶときは、撮影環境の温度や湿度、粉塵、油煙、塩害などのリスクを洗い出してから防塵防水等級を決めるのが基本です。ここでは防犯カメラの防塵防水等級の選び方を解説します。

 

一般的な戸建て住宅ならIP65以上

戸建ての外壁や玄関周りに取り付ける防犯カメラは、直射日光と通常の雨に晒される程度です。風雨時でも短時間で水は流れ落ちるため、高圧の防水性能よりもコストとコンパクトさが重視されます。

 

IP65以上のモデルなら粉塵の侵入を最小限に抑えながら散水試験に耐えられるため、長期にわたりメンテナンス頻度を抑制できます。暗視やモーション検知など付加機能に予算を回した方が防犯効果は高まり、総合的な費用対効果が向上します。周囲の照度が低い場所では赤外線LEDや白色LED搭載モデルを選び、夜間映像の鮮明度も確保してください。

 

工場や油を活用する店舗ならIP66以上

工作機械やフライヤーを備えた飲食店では、高温の油煙や金属粉が空気中を漂います。これらがレンズに付着すると画質が著しく低下し、清掃時に強い水流を掛けると内部に浸入するリスクが高まります。

 

IP66以上のカメラは完全防塵に加えて強力な噴流水を弾くため、清掃ホースで周囲を洗浄しても故障しにくく、衛生基準を満たしたまま運用できます。シリコンガスケットや防油コーティングが施されたモデルを選ぶと、長時間の油煙曝露でも透明度を維持できます。録画サーバとカメラ間のケーブルに耐油性被覆を採用すると、被膜劣化による短絡も防げます。

 

強い雨風に晒される場所ならIP67以上

海沿いの港湾施設や山間部の橋脚など、暴風雨や飛散物が頻発する環境では一時的な浸水や結露が避けられません。塩分や雪解け水が内部に入ると配線が腐食し、短期間で映像が途切れる事態に繋がります。

 

IP67以上のカメラは1メートルの水深に30分沈めても機能を維持できるため、高潮や水たまりが発生しても安心して運用できます。防湿剤充填済みのハウジングや防錆ネジを採用した機種を選定すると、過酷な気象条件でも保守回数を削減できます。強風時の振動による画像揺れを低減するため、筐体にショックアブソーバを備えたモデルを組み合わせると映像安定性が向上します。

 

屋外に防犯カメラを設置する際の注意点

Points to note

屋外設置では風雨や紫外線の影響が強く、気象条件と施工品質が機器の寿命を大きく左右します。防塵防水等級だけでなくケーブル貫通部や金具の耐候処理を確認し、微細な隙間からの浸水と内部結露の防止が大切です。

 

防犯カメラを屋外に設置する際の注意点を紹介しましょう。

 

パーツは防塵防水仕様ではない場合がある

カメラ本体がip66_に準拠していても、ケーブルコネクタや電源アダプタが同等の等級を満たさない場合があります。異なる保護レベルを混在させると最も弱い箇所から浸水し、内部ユニットが短絡する恐れが高まります。

 

屋外用ケーブルは防水グランドと熱収縮チューブで固定し、端子部に自己融着テープを重ねると空気層が消え腐食を防止できます。交換可能なパッキンは時間とともに硬化するため、年1回の交換を保守契約に組み込むと安全性が安定します。

 

塗膜の浮きやボルト緩みが発生すると雨水が浸透しやすくなるので、年次点検時のトルク管理が重要です。

 

IP66でも強い風雨や施工不良への対策は必須

ip66は強力な噴流水でも浸水しませんが、風速20メートルを超える暴風雨では飛来物がガラスカバーに衝突し、ヒビから水が侵入する事例があります。ガードフレームや耐衝撃ドームの併用がおすすめです。

 

施工段階でガスケットに異物が挟まると微小な溝が生じ、圧力差によって水が吸い込まれます。組立後に全周を目視確認し、エアリークテスタで負圧試験を行うと施工不良を早期に検知可能です。

 

純正アクセサリを使用し、メーカー推奨のトルクと塗布量を守ると耐候性能と放熱性能を両立できます。

 

IP66に関するよくある質問

防塵防水等級は聞き慣れない技術用語が多く、購入担当者が誤解したまま機器を選定するケースが少なくありません。ここでは、IP66に関するよくある質問に回答し、選択ミスによる追加コストを未然に防ぐポイントを解説します。

 

Q1:屋外カメラなら必ずIP66であれば大丈夫ですか?

IP66は粉塵と強い噴流水を防ぎますが、長時間の浸水や塩害には対応基準がありません。水深が一メートルに達する恐れや海風が当たる環境ではIP67以上が推奨されます。設置場所の気象データを確認し、必要な等級を客観的に決めることが重要です。

 

Q2:IP66とIP67のどちらを選べばいいですか?

IP66は噴流水試験に耐え、IP67は短時間の水没試験に耐えます。高圧洗浄が主なリスクであればIP66が適切であり、冠水や高潮が懸念される場合はIP67を選択してください。コスト差とメンテナンス要件も比較し、過不足のない仕様を決定すると投資効率が向上します。

 

Q3:防水カメラを設置しているのに水が入ったのはなぜですか?

浸水の大半はケーブル貫通部や内部結露が原因です。特に施工時にガスケットを傷付けたり、シール材の硬化時間を守らなかったりすると小さな隙間から水が侵入します。温度差による結露も基板を腐食させるため、乾燥剤やファンを備えたモデルを選定すると効果があります。

 

Q4:親水コーティングと撥水コーティングはどちらが良いのですか?

親水処理は水膜を広げ汚れを浮かせるため、雨量が多い場所ではレンズ表面が自然に洗浄されます。撥水処理は水滴を弾いて光学面への付着を抑えるので、霧粒や油膜が問題となる工場内におすすめです。設置環境の湿度と汚染物質を分析し、最適なコーティングを選ぶと画質が長期間維持されます。

 

Q5:屋外カメラの設置は自分で行っても問題ありませんか?

壁面の穴開けやケーブル配管が正しく行えれば自力施工は可能ですが、防水保証は施工品質に依存します。規定トルクやガスケット交換時期が守られないと保証範囲外となるため、専門業者への施工や定期点検が大切です。また、高所作業には墜落防止措置が必要であり、安全管理の観点からも委託がおすすめです。

 

防塵防水等級をチェックして最適な防犯カメラを選ぼう

防塵防水等級は環境負荷と機器寿命を直接左右するため、機能や価格だけで製品を選ぶと予期せぬ故障を招きます。

 

設置場所の気候と清掃方法を正確に把握し、ip66_やそれ以上の等級を基準としてコネクタや金具まで一貫して耐候品を採用すると保守コストが抑えられます。仕様書や施工手順を早期に整理し、長期にわたる映像品質と安全運用を実現してください。

 

防犯カメラの設置を検討している際は、ぜひTIトレーディングにご相談ください。

 

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