胴ベルト型墜落制止用器具での高所作業で注意すること

胴ベルト型安全帯を着用して高所作業をする際に注意すべきポイントについて説明します。

胴ベルト型墜落制止用器具の大きな特徴は、墜落時の衝撃が腰部分に集中することです。フルハーネス型に比べ、墜落時の身体への負担が大きくなることが問題点といえます。

そのため、墜落が発生し救助するまで時間がかかるような現場で胴ベルト型墜落制止用器具を使用する場合は、墜落しないための細心の注意が必要です。

墜落制止用器具メーカーによる胴ベルト型墜落制止用器具を着用した状態での宙づり体験では、2分以上宙づり状態が継続すると、体験者がきわめて危険な状態になることが予想されることから、2分以内で体験を打ち切っています。

特に注意を要する現場とは

胴ベルト型墜落制止用器具での作業で、特に注意を要する現場について、いくつかの災害事例を挙げてみました。

[事例:1]
安全帯(現:墜落制止用器具)を使用していたが墜落時の衝撃で内臓が圧迫され被災。
被災者は、胴ベルト型安全帯(現:墜落制止用器具)を着用している状態で長時間宙づりとなり、内臓の損傷による死亡災害に至りました。

※詳細はこちら

[事例:2]
安全帯(現:墜落制止用器具)を使用していたが墜落時の衝撃で内臓が圧迫され被災。
被災者は、宙づり状態となってしまった時に、胴ベルト型安全帯(現:墜落制止用器具)が腰から胸部まで上がり、胸部が圧迫され窒息状態となり死亡災害に至りました。

胴ベルト型墜落制止用器具に加わる衝撃荷重とは

胴ベルト型墜落制止用器具での、墜落時に腰や腹部にかかる衝撃荷重の実験結果によると、下図のように0.5tから1t(およそ瞬時にドラム缶6本分に相当)にまで及ぶと想定されます。

さらに、墜落したあと救出されるまでの間、身体は5cmの細い帯で全体重を腰で支えられることにより、身体へ大きな負担から重篤なケースにつながると考えられます。

(フックの位置によっても受ける衝撃が異なります)

このような胴ベルト型墜落制止用器具が起因する災害を防止するために考慮すべきことは、墜落を阻止した後の衝撃を軽減することなど救助されるまでの延命を想定した対策です。

そのためには、胴ベルト型墜落制止用器具の安全上の問題点である、腰あるいは腹部に集中する荷重を分散することが必要です。

もっとも有効な方法が、フルハーネス型墜落制止用器具の使用です。

フルハーネスは、肩から、胸、腰、大腿まで身体全体で墜落時の衝撃荷重を分散するよう機能します。

厚生労働省では、以前よりこれらの胴ベルトによる死亡災害の問題視しており、2019年2月労働安全衛生規則の墜落制止用器具関連の項目を改正。一定条件での作業において2022年までに墜落制止用器具はフルハーネスに完全移行する計画を発表しました。

フルハーネス型墜落制止用器具の特徴

フルハーネス型墜落制止用器具の最大の特徴は、墜落発生時の衝撃荷重を全身に分散させることです。

胴ベルト型に比べて、墜落防止の際に与える被災者の身体へ衝撃や負担を大幅に軽減します。

ただし、フルハーネス型墜落制止用器具を着用していても、救助までの宙吊り状態が30分以上続くと危険な状態になります。

これらの対策としては、<うっ血対策ストラップ>の使用が有効です。

うっ血対策ストラップとは、墜落が発生し宙づり状態になった時に足をのせるためのストラップです。

左右の腰部に装着したケースからストラップを取り出し、両足をのせることで救助までの間の身体への負荷を軽減し、フルハーネスと併用することでよりリスクの軽減につながります。

これらのことを踏まえ、万が一墜落事故を想定し必要な安全器具について、今一度見直してみてください。

<フルハーネス型墜落制止用器具について>

弊社で取り扱いをしているフルハーネス型墜落制止用器具は、墜落防止に特化した世界最大メーカーの製品です。 製品には以下の特徴があります。

  • 米国の規格に適合
  • 高い品質(快適さ、動きやすさ、使いやすさ)

関連記事

関連製品

墜落防止用商品・墜落制止用器具の導入を
ご検討、お悩みの方

まずはお気軽に
お問い合わせください