よくあるご質問
よくあるご質問
Q)墜落で衝撃を受けた墜落制止用器具は、再度使用できますか?
A)できません。
一度でも墜落の衝撃を受けた墜落制止用器具は、通常の強度を損なっています。また、墜落制止用器具だけでなく、ショックアブソーバーやランヤードなどその他の部品全て廃棄する必要があります。
Q)なぜ、一本つり用墜落制止用器具でU字つりが禁止なのですか?
A)一本つり用のランヤードをU字つりに使用が禁止されている理由は、ロープの違いにあります。U字つりに比べて、一本つりロープはU字つりに伴う摩耗に対応していません。一本つり墜落制止用器具のロープ打ちの種類には、三つ打ちと八つ打ちがありますが、これらのロープは、墜落時の衝撃を緩和する機能を有します。これらのロープをU字つりに使用すると、ロープが伸びた状態で劣化し、そのため、墜落の際の衝撃緩和が機能しなくなるという理由です。(化学繊維製の帯状ストラップなども同様)また、ショックアブソーバー機能付きのランヤードは、U字つり状態で使用すると衝撃でショックアブソーバーが機能し、ロープが伸びるという危険性もあり注意が必要です。
Q)日本と欧米の二丁掛けの考え方の違いは?
A)フックの二丁掛けは、墜落の危険が伴う高所作業中に、墜落制止用器具のフックを外して移動する際に、フックが外れて墜落するということを防止するための対策です。欧米の考え方は、単なる作業中の移動の際だけでなく、常にフックを二丁掛けにするなど墜落防止への意識が高いといえます。フックの二丁掛けの補助ロープについては、日本では0.9〜1.3m程度のランヤードの使用が一般的ですが、欧米で使用しているランヤードは、2本とも1.8〜2.0mと日本より長く、常に二丁掛けをしながらの作業のしやすさを重視しています。
一度でも墜落の衝撃を受けた墜落制止用器具は、通常の強度を損なっています。また、墜落制止用器具だけでなく、ショックアブソーバーやランヤードなどその他の部品全て廃棄する必要があります。
Q)外国製のハーネスのフックにある刻印の意味は?
A)外国製の墜落制止用器具は、それぞれの国による安全基準が満たされている証明として、フック部分に刻印(認証マーク)されています。日本製の墜落制止用器具は、フック部分の刻印はなく、安全基準規格については製品の取扱説明書に記載されています。外国製ハーネスの認証マークは、下記の通りです。
[CEマーク]
EUにおける安全・健康に関する規格の認証マークで、製造を監査する公認機関のID番号が記されています。(CE 0120/CE 0321/CE 0197など)CEマークは、欧州の経済地域に加盟する国で統一した安全認証を設けることで、製品の自由な流通・公平な競争・使用者が同じレベルの健康・安全・環境に関する保護を享受できることを目的としています。
[欧州規格EN]
ENは、EU加盟国間の貿易円滑化などの目的で、産業水準を一定化する基準として「地域規格」を制定したものです。
- EN361:墜落対応フルハーネスの規格
- EN362:コネクターの規格
- EN358:ワークポジショニングランヤードの規格
- EN813:墜落予防対応シットハーネスの規格
フルハーネス規格マーク一例
Q)墜落防止用品の廃棄基準について教えてください。
A)墜落防止用品の点検ポイントと廃棄基準の目安は下記の通りです。
部品名 | 点検ポイント | 廃棄基準 |
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親綱 子綱 |
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安全ブロック |
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フック |
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伸縮調節器 |
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カラビナ リング類 |
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スライダー |
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Q)2019年安全帯から墜落制止用器具への改定に伴う新規格のポイントをわかりやすく教えてください。
A)2019年2月1日厚生労働省より改正された「墜落制止用器具の規格」の内容で、新規格と旧規格との比較を下記の通りまとめました。
名称 | 新規格 (墜落制止用器具) |
旧規格 (安全帯) |
---|---|---|
フルハーネス | 引張荷重:トルソーの頭部方向に15.0kN/足部方向に10.0kN以下で破断しないこと | 引張荷重:11.5kNで破断しないこと |
ランヤードのロープ | 引張荷重:織ベルト・繊維ロープは22.0kN/ワイヤーロープ・チェーン15.0kNで破断しないこと ※ショックアブソーバー付きは15.0kN可 |
引張荷重:15.0kNで破断しないこと |
コネクター | 引張荷重:11.5kNで破断・変形・外れ止め機能を止め損失しないこと 耐力試験:破断・機能を損なう変形がないこと |
引張荷重:11.5kNで破断しないこと |
ショックアブソーバー | 引張荷重:15.0kNで破断しないこと | 引張荷重:11.5kNで破断しないこと |
巻取り器 | 引張荷重:11.5kNで破断しないこと ※ロック装置付きは6.0kN以下 |
引張荷重:11.5kNで破断しないこと |
落下距離の定義 | 自由落下距離:作業者がフルハーネス又は胴ベルトを着用する場合に当該フルハーネス又は胴ベルトにランヤードを接続する部分の高さからコネクターの取付設備等の高さを減じたものにランヤードの長さを加えたもの 落下距離:作業者の墜落を制止するときに生じるランヤードおよびフルハーネス又は胴ベルトの伸びなどに自由落下距離を加えたもの |
ー |
使用可能重量の定義 | 使用可能最大重量器具の選定:墜落制止用器具は、着用者の体重およびその装備品の重量合計に耐えるものでなければならない | ー |
落下体質量 | 85kg又は100kg | 85kg |
トルソー角度 | トルソー(上方)とランヤードの角度45度以下/ランヤードと接続するコネクターがある場合は50度以下 | 30度以下 |
衝撃荷重 | [第一種] 自由落下距離:1.8m 衝撃荷重:4.0kN以下 ショックアブソーバーの伸び:1.2m以下 [第二種] 自由落下距離:4.0m 衝撃荷重:6.0kN以下 ショックアブソーバーの伸び:1.75m以下 |
衝撃荷重:安全帯とランヤードの組み合わせで8.0kN以下 ショックアブソーバーの伸び:350mm以下 |
自由落下距離と落下距離
自由落下距離:A =c+(b-a)
落下距離:B=c+d+(b-a)
a:フックの取り付け高さ
b:D環の高さ
c:ランヤードの高さ
d:ショックアブソーバー
+
墜落制止用器具
+
ランヤードの伸び
[フルハーネス]
[胴ベルト]
墜落制止用器具 FAQ
Q)施行日(2019 年2月1日)以降、U字つり用胴ベルトは使用できなくなる?
A)U字つり用胴ベルトは、施行日(2019年2月1日)以降「墜落制止用器具」として使用はできません。ただし、経過措置として2019年8月1日以前に製造され旧規格に適合しているものは、2022年1月1日までの間、要求性能墜落制止用器具とみなされ使用可能です。
Q)「安全帯」という用語は使えなくなる?
A)法令改正に伴い、「ハーネス型安全帯」「胴ベルト型安全帯」は「ハーネス型墜落制止用器具」「胴ベルト型墜落制止用器具(U字つりを除く)」になりますが、現場などで、今まで通り「ハーネス型(胴ベルト型)安全帯」と呼ぶことは問題ありません。
Q)高さ6.75 m以上と6.75m以下での作業がある場合、フルハーネスを使ってもよい?
A)問題ありません。
フルハーネスには高さの使用制限はなく「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」においても、「墜落制止用器具はフルハーネスが原則」とされています。さらに、取付設備の高さや作業者の体重に応じたショックアブソーバーのタイプとランヤードの長さ(ロック付き巻取り器付きを含む)を適切に選択することも必要です。
Q)今後、墜落制止用器具は何を使えばいいの?
A)今後段階的に、墜落制止用器具は原則的にフルハーネスへと移行します。6.75m以上の高所作業(建設業では5m)一定条件下ではフルハーネスを使用しなければいけません。※フルハーネスで墜落時地面に到達する場合は「胴ベルト型一本つり」が可能。
Q)使用可能質量が異なるフルハーネスとランヤードは使用可能?
A)使用可能質量が異なる場合は、小さい方の数値が基準となります。例)フルハーネス使用可能質量:130kg/ランヤード使用可能質量:100kg→100kg
Q)高さを算定する場合の基準点は地上となるか。屋根や足場は基準点となるか?
A)原則として地上(GL)を基準としますが、十分な広さを持つコンクリート床面の上方で高所作業を行う場合など、さらにそこから墜落することが想定できない場合などについては、その高さを基準点とすることができます。※具体的な判断は、所轄の労働基準監督署に確認ください。
作業床の定義
法令上具体的な定義はないが、一般的には、足場や機械の点検台など作業のために設けられた床。 ビルの屋上や橋梁の床板など、平面的な広がりを持った建築物の一部分などを指します。通常その上で労働者が作業するものについても作業床と考えられます。※具体的な判断は、所轄の労働基準監督署に確認ください。
Q)高さ2m以上の箇所でフルハーネス着用で通行や昇降をする場合、特別教育は必要?
A)「通行」や「昇降」だけの場合、特別教育は必要ありません。
Q)「通行」「昇降」の定義は?工事の確認や点検なども「通行」「昇降」に含まれる?
A)法令上の定義はありませんが、一般的に、「通行」とは通っていく、「昇降」とは、昇ったり降りたりすることを意味します。それ以外の行為(工事の進捗確認、現場巡視、点検など)は、「通行」や「昇降」にはあたりません。ただし、昇降を主たる目的として、昇降しながら昇降用の設備(はしご等)の健全性等を確認するような場合は「昇降」に含まれます。
Q)高さ2m以上の箇所でフルハーネス使用者は、全員特別教育受講が必要?
A)法令による特別教育義務は「高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネスで作業に係る業務」とあります。つまり、作業床のある箇所においての作業については、特別教育は義務付けられません。
墜落制止用器具使用における特別教育
科目 | 時間 | |
---|---|---|
学科教育 | 作業に関する知識 | 1時間 |
墜落制止用器具(フルハーネスに限る。以下同じ)に関する知識 | 2時間 | |
労働災害の防止に関する知識 | 1時間 | |
関係法令 | 0.5 時間 | |
実技教育 | 墜落制止用器具の使用方法等 | 1.5 時間 |
Q)身を乗り出す作業で手すりがない箇所や開口部での作業者は、特別教育が必要?
A)作業床上での作業であれば特別教育は義務付けられません。なお、高さが2m以上の作業床の端、開口部等で墜落により危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等の設置と墜落制止用器具の使用等が義務付けられます。
Q)特別教育は、2019 年2月1日までに、全員受けなければならない?
A)一定の条件を有する人には、一部科目の受講が省略できます。高さ2m以上の箇所で作業床を設けることが困難な箇所でのフルハーネス着用の作業者が対象ですが、当該作業に6ヶ月以上の経験のある者は一部科目の省略が可能です。※詳しくは、所轄の労働基準監督署に確認ください。