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用語集

墜落防止用品の用語解説

墜落制止用器具

高所などでの作業時に墜落・滑落制止を目的とし、身体に装着する保護具。ベルトとロープ(ランヤード)で構成され、作業範囲に応じ、ランヤードの長さや墜落制止用器具取付設備の設置位置を設定することで、墜落自体を防ぐことも可能。「フルハーネス型」と「胴ベルト型」に大別される。

フルハーネス型 墜落制止用器具

墜落阻止時の衝撃荷重を腿、胸、肩など複数箇所のベルトでに分散し受け止めるタイプの保護具。

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胴ベルト型 墜落制止用器具

墜落阻止時の衝墜落阻止時の衝撃荷重を腰のベルトで受け止めるタイプの保護具。

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ハーネスの機能と種類

A. 墜落防止
フォールアレスト

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B.作業姿勢保持
ワークポジショニング

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C. 垂直面移動
シットハーネス

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D. 危険区域侵入阻止
レストレイン

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墜落制止用器具用フック

墜落制止用器具のロープやストラップの先端の部品で、丈夫な構造物などに接続して、墜落を防止するために使用。

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カラビナ

墜落制止用器具用フックと同じ目的で使われる環状金具。親綱を構造物等に取り付ける場合にも利用。墜落制止用器具の構造規格に適合しているものを使用。

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コネクター

作業者が着用する墜落制止用器具(フルハーネスや胴ベルト)とアンカーを接続する器具。「安全ブロック」や「ランヤード」などがある。

安全ブロック

墜落により高速でストラップが繰り出されると「ロック機能」が作動し、作業者の墜落を阻止する器具。ストラップの長さなど現場に応じた種類を選定する必要がある。また、落下時の衝撃を緩和するショックアブソーバー付きもある。

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安全ブロック

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ウィンチ付き安全ブロック(救助が可能)

ランヤード

合成繊維製のロープやワイヤーロープにフック・D環・巻取器などで構成され、墜落制止用器具とアンカーを接続し墜落防止する器具。「ポジショニング用」や「レストレイン用」。また、下図のような種類がある。

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巻き取り式 ツインワイヤー

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伸縮式 ツインワイヤー

ウィンチとは

ウィンチとは、ロープを巻き上げるための機能。 事故発生時、一人でも救助が可能になり、安全確保につながる。

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二丁掛けとは

二丁掛け(ツインランヤード式)は、単管パイプや親綱などの終端でフックを掛け替える際の墜落事故防止のための方式。常にランヤードが構造物に掛かっているよう、2本のランヤードを交互に掛け替えて使用。

親綱

親綱は、水平または垂直に張ったワイヤー等とコネクターを接続して、墜落を防止するために使用する器具。「水平用」「垂直用」さらに、それぞれ「仮設用」「常設用」がある。仮設用には「ワイヤー式」「ロープ式」。常設用には「ワイヤー式」「レール式」が使用される。

水平親綱

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垂直親綱

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親綱の種類

《水平用親綱 仮設タイプ》
主に、建造物の建設現場に使用

《水平用親綱 常設タイプ》
主に、工場の通路(天井クレーンなど)、橋梁、ビルの屋上や屋根(保守点検作業用)に使用

《垂直用親綱 仮設タイプ》
主に、建造物の建設現場に使用

《垂直用親綱 常設タイプ》
主に、鉄塔やビル、工場、風力発電所の垂直はしごに設置して使用
雪氷にも強いため、スキー場にも適応

安全器

親綱又は子綱と墜落制止用器具を接続し、両者の位置関係を調整するための器具。一方向しか制止が機能しないため、使用時は必ず接続方向を確認する必要がある。

伸縮調節器

ランヤードやロープを使う長さを調節する器 具。子綱に取り付け、屋根の広さに応じ、子綱の 長さを手動で調節するために使用。

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スライド

垂直親綱に取り付け、墜落制止用器具のD環と接続する器具。作業者の動きに伴って、垂直親綱に沿って上下にスライドする。

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アンカー

アンカーは、安全ブロックやランヤードなどを接続し墜落を制止するポイントのこと。そのため、アンカーには墜落時の衝撃荷重を十分に支える強度が必要。さまざまな種類のアンカーから、現場の状況に応じ適切な器具を選定する。

アンカーコネクター

アンカーを提供するための器具。下図は、H鋼に容易にアンカーを設置できるコネクター。その他、作業者の動きに伴いH鋼を移動する種類もある。

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H鋼用 アンカーコネクター

アンカーシステム

鉄道、飛行機、トラック等の車両整備などで、頭上にアンカーコネクターや親綱を設置できない場所で使用するシステム。

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アンカーシステム トラック使用例

足場

工事現場などで作業するための仮設の作業床や通路およびそれらを支持する構造物のこと。足場の構造は、支柱足場と吊り足場に大別。支柱足場は一般的な建築物や土木構造物では広く用いられ、橋梁やダム工事では吊り足場が用いられている。足場の種類には、「枠組足場」が非常に多く、次いで「単管足場」「単管傾斜足場」「ブラケット足場」等があり、最近の傾向としては、金属製の支柱足場がほとんど。

安全規格(ハーネス)

ハーネスの製造や使用には各国の法定の安全基準があり、その証明として多くのハーネスにはフック部分に刻印されている。

  1. CEマーク:EUが定めた安全や健康に関する規格を満たした製品
  2. 欧州規格EN:EU加盟国間の貿易円滑化と産業水準統一化のための地域規格。日本製のハーネスを海外で使用する場合も、これらの安全規格を満たしていることが条件となる。

危険予知訓練(KYT)

作業や職場にひそむ危険性や有害性等の危険要因を発見し解決する能力を高める手法。KYTは、危険のK、予知のY、訓練(トレーニング)のTをとったもの。KYTの基礎手法であるKYT基礎4R(ラウンド)法による危険予知訓練の進め方がある。

1R:どんな危険がひそんでいるか:ひそむ危険要因を発見・ひきおこす現象を想定
2R:これが危険のポイント:発見した危険のうち、重要度の高い危険のポイントを把握・確認
3R:あなたならどうする:危険のポイントの具体的な対策案を策定
4R:私達はこうする:対策の中から「重点実施項目」を実践するための目標を設定・確認

呼吸用保護具

大別して「ろ過式」と「給気式」がある。ろ過式とは、空気中にある有害物だけをろ過し、清浄な空気として吸気させるもの。給気式は、別の環境の空気をホースで給気したり、ボンベに充填された空気を給気するもの。

作業計画

作業を安全に行うために、あらかじめ作業方法を検討し作業計画を定めておくこと。作業前に労働者に周知し確実に実行する必要がある。例えば、「高所作業車を用いる作業(安衛則194条の9)」「建築物の鉄骨の組立て等の作業(安衛則517条の2)」「移動式クレーンを用いる作業(クレーン等安全規則66条の2)」などがある。

作業主任者

労働安全衛生法第14条により、労働災害を防止するための管理を必要とする一定の作業について、その作業の区分に応じて選任が義務付けられているもの。さらに、専任した作業主任者の氏名及びその者に行わせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示するなど関係労働者に周知する必要がある。

作業床

法令上具体的な定義はないが、一般的に足場や機械の点検台など作業のために設けられた床のことをいう。また、ビルの屋上や橋梁の床板など、平面的な広がりを持つ建築物の一部分なども含まれ、 通常その上で労働者が作業するものについても作業床と考えられる。

自由落下距離 落下距離

「自由落下距離」とは、作業者がフルハーネス又は胴ベルトを着用する場合に当該フルハーネス又は胴ベルトにランヤードを接続する部分の高さからコネクターの取付設備等の高さを減じたものにランヤードの長さを加えたもの。「落下距離」とは、作業者の墜落を制止するときに生じるランヤードおよびフルハーネス又は胴ベルトの伸びなどに自由落下距離を加えたもの。

自由落下距離:A=c+(b-a)
落下距離:B=c+d+(b-a)

[フルハーネス]

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[胴ベルト]

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衝撃荷重

衝撃荷重とは、急激に加えられた荷重のこと。荷重の大きさは、力が加わる時間に反比例し、短時間で力がかかるほど荷重が大きくなる。

特別教育

労働安全衛生法第59条第3項で、厚生労働省令で定める危険又は有害な業務に就く労働者に、事業者が受講を義務付けるもの。ハーネス使用においては、事業者が高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところで、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務に労働者を就かせる場合に、受講義務の規定がある。

荷役作業

荷役(にやく又はにえき)作業とは、陸上で貨物の輸送機器や運搬機器への積み込みや荷下ろし、または倉庫やヤード等への入庫・出庫を総称した作業のこと。輸送機器はトラック、貨物、船舶、航空機など。運搬機械は、クレーンによる貨物の上げ下ろし、コンベヤ、フォークリフト、ショベルローダ、移動式クレーン、ダンプトラックなどによる貨物の出し入れと人の力で行う作業を含む。

ヒヤリハット

「もう少しで怪我をするところだった」というような災害に至らなかったが「ヒヤリとした」「ハッとした」という経験のこと。これらの自ら経験したヒヤリハットを報告することで、作業手順の見直しなどに役立て、災害防止に結びつける行いを「ヒヤリハット活動」といい、仕事にかかわる危険有害要因を把握する方法の1つとして実施されている。

不安全行動 ヒューマンエラー

不安全行動」とは、労働者本人または関係者の安全を阻害する可能性のある行動を意図的に行う行為のこと。つい「これくらいは大丈夫だろう」、「面倒くさい」、「皆がやっているから」、「(作業を早く進めるためには)仕方がない」など手間や労力、時間やコストを省くことを優先、また「長年の経験」など慣れや過信から労働災害に発展するケースなども含まれる。
「ヒューマンエラー」とは、自らとった行動により「意図しない結果をもたらす」のこと。
ヒューマンエラーのうち安全に関わる代表的な分類として、
1.行動からの分類(①やり忘れ②やり間違い)
2.人間の情報処理過程からの分類(①実行上の誤り②意図の誤り③記憶間違いによる誤り)
3.外部のきっかけを認知からの分類(SRKモデル)などがある。

《ヒューマンエラーの防止方策例》

  1. 人が間違えないように人を訓練する。
  2. 人が間違えにくい仕組み・やりかたにする。
  3. 人が間違えてもすぐ発見できるようにする。
  4. 人が間違えてもその影響を少なくなるようにする。

4S(整理/整頓/清掃/清潔)

4S(よんえす)は、安全で、健康な職場づくり、そして生産性の向上をめざす活動で、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seiso)、清潔(Seiketsu)を行うこと。また、しつけ(Shitsuke)を加えたものを5S(ごーえす)という。

  1. 整理:必要なものと不要なものを区別し判断する
  2. 整頓:必要なものをいつでも使える状態にする
  3. 清掃:ゴミ、ほこり、油、溶剤などを除去し、仕事の効率化・問題点の判別につなげる
  4. 清潔:職場の機械や用具などを清掃し、汚れのない状態を保つ
  5. しつけ:挨拶や言葉遣い、また、決められた作業や機器操作手順などを守るよう指導する

リスクアセスメント

事業場にある危険性や有害性の特定、リスク・優先度の設定、リスク低減措置の決定の一連の手順のことで、事業者は、その結果に基づき適切な労働災害防止対策を講じる必要がある。労働安全衛生法第28条では、「危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置」として、製造業や建設業等の事業場の事業者は、リスクアセスメント及びその結果に基づく措置の実施に取り組むことが努力義務とされている。

労働安全衛生マネジメントシステム

労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)は、事業者が労働者の協力の下に「計画(Plan)-実施(Do)-評価(Check)-改善(Act)」のPDCAサイクルに基づき、一連の過程を定めて、継続的な安全衛生管理を自主的に進める仕組み。労働災害の防止と労働者の健康増進、さらに進んで快適な職場環境を形成し、事業場の安全衛生水準の向上を図ることを目的とする。「OSHMS」は、Occupational Safety and Health Management Systemの頭文字で、ILO(国際労働機関)においてOSHMSに関する指針等が策定され、日本でも厚生労働省から「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」が示されている。

労働災害防止計画

労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた5カ年計画。労働安全衛生法では、厚生労働大臣が、諮問機関である労働政策審議会の意見をきき、労働災害防止計画を定めるものとされている。これらの取組の結果、労働災害は大幅に減少傾向にあるが、現在に至ってもなお、労働災害死亡者は約1,000人。業務上のけがや病気のため4日以上休業者は、10万人を超える。2018年度から2022年度までを期間とする「第13次労働災害防止計画」においては、このような現状を踏まえ、労働災害が増加している業種における対策等を定めた取り組みを行なっている。