2-1. 墜落防止用品の種類(A・B・C・D)

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墜落防止のABCD

一般的な墜落防止対策は、大きく4つの要素で構成され《墜落防止のABCD》と呼ばれます。基本は、「A)アンカー」「B)ボディサポート(墜落制止用器具)」「C)コネクター(安全ブロックやランヤード等)」の3つの要素《墜落防止のABC》。さらに、4つ目の要素「D)降下・レスキュー」を加えたものが《墜落防止のABCD》です。

A)アンカー

アンカーとは、安全ブロックやランヤードなど「C)コネクター」を接続するポイントです。アンカーは、墜落時の衝撃荷重を十分に支える強度が求められます。現場の状況に応じたアンカーを選ぶ必要があります。

アンカー

B)ボディサポート

日本では「墜落制止用器具」(2019年2月から)と呼ばれ、「フルハーネス型」と「胴ベルト型(一本つり)」に分類されます。安全ブロックやランヤードなどのコネクターで、アンカーと接続します。フルハーネス型は、墜落の衝撃を太腿、骨盤、胸、肩に分散して衝撃を和らげます。

ボディサポート

C)コネクター

コネクターには、安全ブロックやランヤードなどがあります。作業者が着用する墜落制止用器具(フルハーネスや胴ベルト)とアンカーを結ぶ器具です。

コネクター

D)降下・レスキュー

墜落した作業者を救助する際に、被災者を引き上げたり、降下させたりする機能を持つ器具や装置です。

降下・レスキュー

A.アンカー

アンカーコネクター

アンカーコネクターは、H鋼などにアンカーを提供するためのものです。コンパクトで軽量なため、容易にアンカーを設置できます。アンカーコネクターの中には、作業者の動きに追従してH鋼を移動するものもあります。

アンカーコネクター

親綱

親綱は、水平または垂直に張ったワイヤー等とコネクターを接続して墜落を防止するために使用する器具です。親綱には、垂直用と水平用があり、それぞれに仮設用と常設用があります。仮設用にはワイヤー式やロープ式、常設用にはワイヤー式とレール式が使用されます。

T.I.Trading 親綱ワイヤーシステム

本システムは常設親綱にステンレス製のワイヤー(直径8mm)を採用。さらに、ショックアブソーバーとともに水平に設置し、ワイヤーをスライドする安全器(スライダー)で作業者のハーネスに接続し、作業者の墜落事故を防止するものです。

〔親綱を選ぶときのポイント〕

親綱を選ぶときには、いくつかのポイントがあります。※厳密には、水平用と垂直用の親綱では考慮するポイントは若干異なります。

1.同時に接続する人数
同時に接続する人数が増えるほど、墜落時の距離が大きくなります。また、親綱に求められる強度も大きくなります。

2.長さ
親綱が長くなるほどたわみが大きくなるため、求められるクリアランス(障害物と激突しない長さ)が大きくなります。

3.墜落時距離
墜落発生時に障害物と激突しないような墜落距離(クリアランス)を検討する必要があります。

4.作業性
作業効率を最も落とさない製品を検討します。

5.費用
安全を第一に考慮した上で、費用の面も器具の選定のポイントになります。

〔水平用の親綱について〕

水平用親綱には、作業現場によって《仮設タイプ》と《常設タイプ》があり、さらに「ワイヤー式」「ロープ式」「レール式」などの種類に分けられます。

《水平用親綱 仮設タイプ》
ワイヤー式とロープ式があり、主に、建造物の建設現場に使用します。

《水平用親綱 常設タイプ》
ワイヤー式とレール式があり、主に、工場の通路(天井クレーンなど)、橋梁、ビルの屋上や屋根(保守点検作業用)に使用します。

水平用親綱 仮設タイプ ワイヤー式

水平用親綱 仮設タイプ ワイヤー式

親綱ワイヤーで人が歩く図

水平用親綱 仮設タイプ ワイヤー式

水平用親綱 仮設タイプ ワイヤー式

親綱ワイヤーで人が歩く図

〔垂直用の親綱について〕

垂直用親綱には、作業現場によって《仮設タイプ》と《常設タイプ》があり、さらに「ワイヤー式」「ロープ式」「レール式」などの種類に分けられます。

《垂直用親綱 仮設タイプ》
「ワイヤー式」と「ロープ式」があり、主に、建造物の建設現場に使用します。

《垂直用親綱 常設タイプ》
「ワイヤー式」「レール式」があり、主に、鉄塔やビル、工場、風力発電所の垂直はしごに設置します。「ワイヤー式」は「レール式」に比べ、導入・維持コストが抑えられることもあり、高所作業現場で主流となりつつあります。さらに、雪氷にも強いため、スキー場など降雪地帯でも導入が進んでいます。

《垂直用親綱ワイヤー式 常設タイプの概要》
ワイヤーをはしごに沿って常設し、そのワイヤーをスライドする安全器(スライダー)をハーネスに接続し、はしごを昇降する作業者の墜落事故を防止します。通常の昇降時は安全器(スライダー)では滑らかにワイヤー上をスライドし、墜落が発生するとロック機能が働き、作業者が墜落する距離を1m以内に抑え、さらにショックアブソーバーにより墜落の衝撃を最小限に抑え、作業者の安全を確保するという仕組みです。

垂直親綱ワイヤー式 常設タイプ

垂直親綱ワイヤー式 常設タイプ

垂直親綱ワイヤー式 常設タイプ

垂直親綱ワイヤー式 常設タイプ

昇降補助システム

昇降補助システムは、はしご昇降時の負担を軽減する装置です。風力発電設備やタワークレーンなど、数十メートルのはしごを昇降するような作業環境を劇的に改善し、疲労を蓄積しないので本来の業務効率につながります。風力発電設備やタワークレーンなどで固定はしごにワイヤーケーブルを設置し、ワイヤーケーブルのグリップを作業者のフルハーネスに接続。モーターでワイヤーケーブルを引っ張りあげ、作業者の昇降を補助します。作業者にほとんど負荷をかけることなくはしごを上り、また安全に降りることができます。

昇降補助システム トップブラケット ワイヤーケーブル張力システム モーター ボトムブラケット ケーブルグリップ(ケーブルとハーネスを接続して昇降補助するもの)

昇降補助システム

アンカーシステム

アンカーシステムとは、鉄道、飛行機、トラック等の車両の整備場のためのシステムです。頭上にアンカーコネクターや親綱を設置できない場所で使用します。

〔トラクターでの使用例〕

アンカーシステムのトラクターでの使用例

〔トラックでの使用例〕

アンカーシステムのトラックでの使用例

〔バスでの使用例〕

アンカーシステムのバスでの使用例

B.ボディサポート(墜落制止用器具)

墜落制止用器具の種類

墜落防止用器具は、「墜落・転落」の際にロープやストラップで身体の落下を阻止する目的で使用。種類は、「胴ベルト型」と「ハーネス型」があります。「胴ベルト型」には、大きく分けて「高所作業用」と「垂直面(壁用)作業用」のタイプがあります。

胴ベルト型は、身体の腰部分で保持するよう機能します。そのため、万が一墜落した場合その衝撃は腰に集中し、落下の衝撃で身体(内臓など)に重大な障害を与える危険があります。一方、「ハーネス型」には、胸から上を保持する「チェストハーネス」タイプや腰と大腿を保持する「シットハーネス」タイプ、さらに、これらを併せた肩から太腿まで保持する「フルボディハーネス(フルハーネス )」タイプがあります。

「フルボディハーネス(フルハーネス )」は、身体を保持するポイントが多いので、墜落した際に受ける衝撃が分散され、身体にとってもっとも負担が軽減される墜落制止用器具といえます。特に、高所からの墜落による死亡災害防止には極めて有効性が高く、建設現場などの産業用作業現場ではフルハーネスへと移行が進んでいます。チェストハーネス」については、墜落防止の目的では単独ではなく、「シットハーネス」と併用して使用します。

〔胴ベルト型〕

胴ベルト型での作業図

胴ベルト型での作業図

胴ベルト型(高所作業用)

高所作業用

胴ベルト型(垂直面(壁面)作業用)

垂直面(壁用)作業用

〔ハーネス型〕

ハーネス型での作業図

フルボディハーネス (フルハーネス )

フルボディハーネス (フルハーネス )

チェストハーネス(胸部を保持)

チェストハーネス(胸部を保持)

シットハーネス(腰と太もも部分を保持)

シットハーネス(腰と太もも部分を保持)

※墜落防止のためには「チェストハーネス」は単独で使用ではなく「シットハーネス」併用でフルハーネス として使用します。

ハーネスの語源

ハーネスの語源は、「馬車の装具(腹帯)」。馬をしっかりとらえ、コントロールするための、ハミや手綱などのことです。レスキュー隊やパラシュート、レーシングカーなどにも装着されています。また、乳幼児用の迷子紐もベビーハーネスといいます。ちなみに、欧米で墜落制止用器具といえば、フルハーネスが一般的な認識です。

フルハーネス型墜落制止用器具

墜落制止用器具の基準は「胴ベルト型」から「フルハーネス型」へと変わりつつあります。以前より、日本の安全基準は欧米の先進国に比べ大きく遅れを取っているということが問題とされてきました。

例えば、米国では墜落による死亡・死傷災害防止のための安全面・機能面を考慮し、1998年にはすでに「胴ベルト型」の使用を禁止。欧州でも高所での作業時には「胴ベルト型」の禁止と「フルハーネス型」の着用が定められています。

今後、2019年2月の墜落制止用器具に関する法改正以降、日本国内の基準も「墜落制止用器具=フルハーネス」へという意識が高まっています。

フルハーネス義務化の法改正

2019年2月施行された新ルールによる法令・告示で、高さ6.75m以上でフルハーネス型の着用を義務付け。(建設業では高さ5m以上)高さが6.75m以下は、胴ベルト型(一本つり)使用可能。段階的に現行規格品の製造が中止され、2022年1月には全面的に、現行規格品の着用・販売の禁止への流れです。

〔フルハーネスの構造一例〕

ラベルキーパー 製造年月日や規格など重要なラベル情報を汚れや摩耗から長期間保護。 ベルトロック機能 調整後にロックして着用中の不用意なベルトの緩みを軽減。 金属製バックル 太陽光や雨水による劣化が起こりにくい頑丈な金属製バックル。 可動式胸ベルト 個々の体格に合わせて、 胸ベルトの高さを適切な位置に調節。 クィックコネクトバックル 簡単にワンタッチで着脱が可能。 うっ血対策ストラップ 万が一の宙づり時に股部の圧迫を和らげ、うっ血のリスクを低減。 回転式ベルト調整機能 レバーを回転しベルトを調整。巻き取り式でベルトの端が余らない構造。

X型背面ベルト 前屈時に背中が突っ張らない構造。落下時には2方向から身体を支持し姿勢を安定。 Dリング ランヤードなどとの接続をスムーズにする大きなDリング。 複合素材パッド 軽量で通気性の良い素材。ベルトの食込みを和らげ快適なフィット感。 しなやかベルト 肩や股部への当たりが柔らかく、現場での多様な動きに追従。 撥水加工ベルト ベルトに施した撥水加工で、カビや汚れが付着を抑制。 ループ型腰部ベルト 多様な動きに追従してスライドする構造で、ベルトの突っ張りをなくす。 道具ベルトと併用 道具ベルトとの併用やハーネスのループに通して使用可能。 骨盤サポート構造 墜落時の衝撃荷重をでん部全体に分散し、局所的な荷重集中を軽減。 スタンドアップDリング スプリング機構により自立。ランヤードなどとの接続をよりスムーズに。 インパクトインジケーター 衝撃を受けると剥がれる構造。墜落履歴を判別し誤用を防止。 反射材 暗い環境でも作業者が分かりやすいよう腿・胸・肩・背に採用。

ハーネスの規格について

ハーネスには、各国の法定の安全基準を満たしている証明として、多くの製品にはフック部分に刻印がされています。

1)CEマーク

EUが定めた安全や健康に関する規格を満たした製品

2)欧州規格EN
EU加盟国間の貿易円滑化と産業水準統一化のための地域規格日本製のハーネスを海外で使用する場合、これらの安全規格を満たしていることが条件となります。例えば、欧州では100kgの物を落下させ、6kN以内に衝撃を緩和させる目標があるのに対し、日本では85kgの物の落下で、8kN以内の衝撃緩和を目標としています。つまり、欧州は日本の基準より2倍に厳しい設定となっています。

フルハーネスの機能

フルハーネスの機能は、使用の目的や作業現場によってタイプがあります。同じフルハーネスでも、設置するアタッチメント(D環)によって機能性が異なり、ハーネスを安全に機能させるためには、目的や作業に応じて正しく装着する必要があります。

 

a環とd環の違いは?

墜落制止用器具とランヤードをつなぐ部品の形状の違いです。文字通りアルファベットのAの形をしたものがa環。アルファベットのDの形をしたものをd環と呼びます。

D環とは

D環とは、墜落制止用器具とランヤードをつなぐ部品で、作業や目的によって適切な箇所に設置することが重要。主に、「背中」「胸」「腰側面」を使用します。

ランヤードとは

ランヤードとは、ロープ・ストラップやフックからなるつり金具で墜落制止用器具と組み合わせて使用する部品です。「墜落の機会を阻止」「墜落時の衝撃を低減」対策を目的とします。

A.墜落防止(フォールアレストハーネス)

墜落した際に、激突を阻止するために機能するハーネス。墜落しても落下距離を短くし、空中でつり止めて衝撃を軽減します。日本では、背中のD環1ヶ所に設置することが主流です。

A.墜落防止(フォールアレストハーネス)

B.作業姿勢の保持(ワークポジショニングハーネス)

U字つり状態で傾斜面での姿勢を保持します。シットハーネスを使用した場合、傾斜地やメタルフォームなどの作業では、足元が確保されていることが条件です。注:墜落を想定しません。

※欧州規格では、50cm以上で墜落の可能性がある箇所では使用禁止(フルハーネス使用限定)。

B.作業姿勢の保持(ワークポジショニングハーネス)

C.垂直面移動(シットハーネス)

垂直面で、宙づりや上下移動の際に、宙づりで足元が確保されていない状態での作業姿勢を保ちます。椅子に腰掛けるような姿勢で、ビルの窓ガラス清掃やレスキューなどで使用されます。

※欧州規格では、50cm以上で墜落の可能性がある箇所では使用禁止(フルハーネス使用限定)。

C.垂直面移動(シットハーネス)

B.作業姿勢の保持D.危険区域侵入阻止(レストレイン用ハーネス)

緩やかな屋根での作業、墜落などの危険区域への侵入を阻止するためのハーネスです。注:墜落を想定しません。日本ではあまり知られていませんが、欧米では一般的です。

B.作業姿勢の保持D.危険区域侵入阻止(レストレイン用ハーネス)

C.コネクター

安全ブロック

安全ブロック(リトラクタ式墜落阻止器具)とは、作業者の墜落を阻止する器具です。墜落により高速でストラップが繰り出されると「ロック機能」が作動し、墜落を阻止します。ストラップの長さはさまざまで、現場に応じた適切な安全ブロックを選定する必要があります。また、屋根上など高所に設置した安全ブロックと墜落制止用器具を連結する場合は、墜落時の衝撃を緩和するショックアブソーバー付きの安全ブロックの使用が推奨されています。

ショックアブソーバーとは

ショックアブソーバーとは、墜落防止時に瞬間的にかかる強い衝撃を軽減する安全装置です。

ショックアブソーバーの基準

ショックアブソーバーを備えたランヤードについては、そのショックアブソーバーの種別が取付設備の作業箇所からの高さ等に応じたものでなければなりません。(腰より高い位置にフックを掛ける場合は第1種、足元に掛ける場合は第2種を選定します。)

衝撃荷重 伸び
第1種:1.8m 4.0kn 1.2m以下
第2種:4.0m 6.0kn 1.75m以下

〔作業現場別〕

1)粉じん等の飛散の有無
砂ぼこりなど、粉じん等の飛散の多い作業環境では、ワイヤーロープ式の安全ブロックを使用。粉じん等のない屋内での作業環境などでは、ウェブタイプのベルト式安全ブロックを使用します。

2)海上など厳しい腐食環境
海上プラットフォームなどの厳しい腐食環境で安全ブロックを使用する場合、安全ブロックの重要な部分(ブレーキ、パワースプリング、ショックアブソーバー)が完全に密封されているタイプを選びます。

〔目的別〕

1)墜落の防止
全ての安全ブロックに備わっている機能です。

2)作業員への墜落の衝撃を最小に抑制
ショックアブソーバー機能を備えているものを選択。ショックアブソーバー機能が内蔵されている安全ブロックは、そうでない安全ブロックと比べて墜落衝撃荷重が小さくなります。

3)宙づりになった状態からの救出
作業員が宙づりになったときに、1人でも楽に引き上げるためウィンチ機能付を選択します。特に、マンホールやタンクなどの狭い孔口等の昇降時の際に適しています。

ウィンチとは

ウィンチとは、ロープを巻き上げるための機能です。事故が発生したとき、作業者を迅速に引き上げる必要がありますが、人手が足りない場合を想定し、一人でも楽に救助でき、安全性の確保に役立ちます。

安全ブロック

安全ブロック

ウィンチ付き安全ブロック (救助が可能)

ウィンチ付き安全ブロック
(救助が可能)

ウィンチ

ウィンチ

ランヤード

ランヤードとは、合成繊維製のロープやワイヤーロープに、フック・D環・巻取器などで構成される墜落防止用品です。ランヤードはボディサポート(墜落制止用器具)とアンカーを接続することで、作業者の墜落を防ぎます。ランヤードの中には、ポジショニング専用のものや、レストレイン用(墜落の危険のあるエリアに侵入させないためのもの)があります。また、「ロープ式」「ワイヤーロープ式」のほかに一丁掛け(シングル)や二丁掛け(ツイン)、伸縮式や巻取り式があります。さらに、用途や環境に応じて、エッジ部用や溶接作業用などを選定。エッジ部用(下左写真)は、墜落発生時に鋼材などにランヤードのロープが接触する場所で使用します。

巻取り式ツインワイヤー (エッジ部用の代表例)

巻取り式ツインワイヤー
(エッジ部用の代表例)

巻取り式ツインワイヤー

巻取り式ツインワイヤー

伸縮式ツインワイヤー

伸縮式ツインワイヤー

〔二丁掛け(ツインランヤード式)〕

二丁掛け(ツインランヤード式)は、単管パイプや親綱などの終端でフックを掛け替える際の墜落事故防止のために考案された方式です。ランヤードが構造物に掛かっていない(無胴綱)状態をなくすために、2本のランヤードを交互に掛け替えて使用。「ロープ式」と「ワイヤー式」のタイプがあり、現場に応じて選定します。常に構造物とランヤードが連結されることで、墜落の危険性を回避することができます。近年、大手ゼネコンを中心にこの二丁掛け(ツインランヤード式)製品の使用義務化が進んでいます。

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D. 降下・レスキュー

タンク・マンホール転落防止・レスキューシステム

〔タンク・マンホール転落防止・レスキューシステムの種類〕

タンクやマンホールなど狭い孔口の作業では、墜落の防止だけでなく、墜落した作業員が酸素欠乏症や硫化水素中毒により意識を失ってしまう場合の救助を想定し、墜落後できるだけ迅速に救助ができる安全対策が不可欠です。このような環境での作業に備え、墜落防止と万が一の墜落後の救助のためのシステムが「タンク・マンホール救助防止・救助システム」です。固定して設置するタイプやベースが調整できるタイプ、フォークリフト用などさまざまなタイプがあり、作業現場や用途に適した器具を選びます。

〔タンク・マンホール救助防止・救助システム 使用例〕

〔タンク・マンホール救助防止・救助システム 使用例〕
〔タンク・マンホール救助防止・救助システム 使用例〕

〔タンク・マンホール救助防止・救助システム 用途別タイプ〕

固定タイプ

〔タンク・マンホール救助防止・救助システム 用途別タイプ〕固定タイプ

主な用途:タンクやマンホールの脇にベースマウントを設置マストを差し込んで使用

ベースタイプ

〔タンク・マンホール救助防止・救助システム 用途別タイプ〕ベースタイプ

主な用途:タンクやマンホールの大きさに合わせてベース部を調整可能全てのパーツを持ち運んで使用

安全柵タイプ

安全柵タイプ

主な用途:不意の転落を防ぐための安全柵

マンホールタイプ

マンホールタイプ

主な用途:マンホールに設置

フォークリフトタイプ

フォークリフトタイプ

主な用途:フォークリフトを使用する必要がある場所で使用

三脚レスキューシステム

三脚レスキューシステム

主な用途:タンクやマンホールの真上に設置シンプルなシステムで、三脚真下でのみ昇降可能

〔緊急レスキュー装置〕

高所から墜落した作業者の救助は、従来「リフト」や「バケット」などを利用しますが、リフトやバケットのない環境での救助は非常に困難です。特に、風力発電所や鉄塔のような高所で足場が限られるような場所では、より一層救助作業が困難になり、このような状況で、数十分もレスキュー隊の到着を待つことは、被災者の負担が大きく生死を分けることにもつながります。「緊急レスキュー装置」は、迅速に使える軽量でコンパクトな仕様で、1人でも救助できるよう使いやすく設計された救助システムです。

緊急レスキュー装置のイメージ図

緊急レスキュー装置

緊急レスキュー装置 Rollgliss R350

宙づりから救助される時間

救助できる作業者がいる場合は、10分程度での救助が可能になります。しかし、消防署のレスキューを要請する場合、現場によっては数十分から1時間を要することも想定されます。特に、30分以上に及ぶと、呼吸が困難(低酸素脳症など)な状態になる危険性が高まり、速やかな救助が求められます。

 

監修者紹介

 立花隆志 代表取締役社長 立花隆志 代表取締役社長
ティー・アイ・トレーディング株式会社代表取締役社長。大学院修了後、2010年に当社へ技術営業として入社。外資系メーカーとの提携や仕入先の新規開拓を担う一方、マーケティング戦路の立案にも従事。2016年に取締役、2019年に代表取締役に就任し、15年以上にわたり墜落防止 (フォールプロテクション)事業の最前線で活躍しています。米国のCompetent Person資格をはじめ、複数のメーカー主催トレーニングを修了するなど、安全対策や墜落防止技術に関する専門知識を体系的に習得。さらに、墜落防止のベストプラクティスを集約した「墜落防止ガイドブック」を作成し、現場の安全意識向上とプロフェッショナルの育成に大きく寄与してきました。専門誌への掲載実績も有し、業界の技術発展と安全対策の普及に尽力しています。「お客様の課題を解決することは、子どもたちが笑顔でいられる社会の実現につながる」という信念のもと、企業と社会へ包括的なコンサルティングを提供。現場の安全確保から組織の課題解決まで、幅広い視点で価値を創造し続けています。

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