トラック荷台からの墜落・転落を防ぐ!親綱支柱について徹底解説!
トラックの荷台で、大きく重い荷物の積み降ろしを行う「荷役作業」を担当するドライバーや作業員は、日常的に事故やケガのリスクがあります。
厚生労働省(2023年6月資料)のデータによれば、陸運業における労働災害(休業4日以上の死傷災害)の75%は荷役作業(人力・機械)が原因です(出典:厚生労働省『労働災害統計調査報告書』2023年6月)。そのうち最も多いのが「墜落」や「転落」によるもので労働災害全体の34%を占めます。労働災害を発生させないためには、以下のような状況を避けることが重要です。
- 車体の揺れ
- 危険の感知
- 滑り
- バランスの喪失
- 足の踏み外し
荷役作業を安全に行うための主要な装備として「親綱」と「支柱」が挙げられます。これらが適切に設置されていれば、多くの事故を防ぐことが期待できます。
本記事では、親綱の重要性や法令、基準、そして墜落防止装備について詳しく解説します。
トラックの荷台作業での親綱の必要性
トラックの荷台作業は、高所からの転落リスクや荷物の動きによる危険が伴います。このようなリスクを最小限に抑えるためには、適切な安全装備の使用が不可欠です。中でも「親綱」は、作業者の命を直接守る役割を果たす重要な装備となります。
トラック荷台作業における親綱の役割とその効果について詳しく解説します。
親綱の定義
親綱は、高所作業時に使用する墜落制止用器具の一部です。作業者は身体に安全帯を装着し、その安全帯と親綱をランヤード(命綱)で連結します。これにより、作業中に作業者が転落するリスクを軽減します。
親綱は、ナイロンやポリエステルなどの強度の高い繊維素材で作られており、建設現場や工場、倉庫など、さまざまな場所で使用されています。
親綱の役割
親綱は、ランヤードや安全帯と組み合わせて使用され、落下時の衝撃を軽減し、死傷事故を防ぐ「命綱」としての役割を果たします。特にトラックでは、荷台の端や荷物の上、車体の上などからの転落リスクが高まります。
親綱を適切に設置することで、車体の揺れや滑りなどのリスクを軽減し、作業者の安全を確保します。親綱は、単に命綱としての役割だけでなく、多くの安全対策の中心として機能します。
親綱の効果
親綱と安全帯をランヤードで連結することで、作業時の安全性が高まります。この安全装備を装着することで、ドライバーや作業員は作業に集中し、安全で効率的に荷物の積み降ろしや整理が行えます。
親綱の導入は、死傷事故のリスクを低減するだけでなく、作業の効率化や時短にも寄与するのです。これにより、残業の削減や人件費の節約、さらには作業員の精神的な安定も期待できます。
親綱の重要性を理解していただいたところで、次に、親綱及び支柱の設置基準と法令について詳しく解説します。
親綱及び支柱の設置基準と法令
次に、トラックの荷役作業に関連する「労働安全衛生法」及び「労働安全衛生規則」の条文と、それに関する解説をしていきます。
これらの条文は、トラックの荷役作業時に高所での作業を行う際の安全対策を示しており、事業者はこれらの法的要件を遵守し、労働者の安全を確保する必要があります。
- 労働安全衛生法(安衛法) 第521条第1項
「事業者は、高さが2m以上の箇所で作業を行う場合において、労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させるときは、要求性能墜落制止用器具等を安全に取り付けるための設備等を設けなければならない。」
この条文は、高さ2m以上の場所での作業時に、労働者に墜落制止用器具を使用させる場合、その器具を安全に取り付けるための適切な設備や装置を設置することを事業者に義務付けています。
- 労働安全衛生規則(安衛則) 第518条第1
「事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。」
- 労働安全衛生規則(安衛則) 第518条第2項
「事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。」
この条文は、高さ2m以上の場所での作業時で、墜落により労働者に危険が及ぶ可能性がある場合、作業床を設けることを義務付けています。ただし、作業床を設置することが難しい場合、事業者は他の安全対策として防網を使用したり、労働者に墜落制止用器具を使用させるなどの措置を取る必要があります。
- 労働安全衛生規則(安衛則) 第519条第1項
「事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆おおい等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。」
- 労働安全衛生規則(安衛則) 第519条第2項
「事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。」
この条文は、高さ2m以上の作業床の端や開口部等での作業時で、墜落により労働者に危険が及ぶ可能性がある場合、囲いやバリケード等を設置することを義務付けています。ただし、囲いやバリケードを設置することが困難、または一時的に取り外す必要がある場合、事業者は防網を使用するなどの代替措置を取り、労働者の安全を確保する必要があります。
トラック作業における墜落防止のための装備
トラック作業において、墜落や転落といった事故を防ぐための装備は非常に重要です。親綱を含めた主要な装備について再確認していきましょう。
親綱
トラックの荷台作業時、安全帯と連結するロープ。支柱に固定され、車体の揺れや足の踏み外し時に墜落や転落を防ぐ役割がある。
控え綱
親綱の余った部分。両端を運転席後方の鳥居や後あおりに固定し、親綱の強度を高める。
緊張器
親綱をしっかりと張るための装備。衝撃や大きな力が加わった際に、親綱の滑りや損傷を防ぐ。
安全帯(墜落制止用器具)
高所作業の際の必須装備。2019年の法改正により、全身を包むフルハーネス型の装着が原則となった。
ランヤード
安全帯と親綱を連結するロープ。フック、D環、巻取器、ショックアブソーバーなどが付属している。
ヘルメット
墜落や転落時の衝撃から頭部を守るための保護帽。適切な衝撃吸収機能を持つヘルメットの選択が重要である。
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