1-1. 転落と墜落の違いなど安全衛生管理の必要性

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作業事故の危険性

労働災害における事故防止のために、現場の安全対策の必要があります。現場の作業者は、安全に作業を行うために、適切な知識と安全に対する技術を持つことが必要です。
合わせて、作業を管理する立場からは、安全対策への正しい知識と安全のために必要な設備や用具を提供する必要があります。

労働災害で、特に多いのが「墜落」「転落」「転倒」。その中でも、「墜落」「転落」に起因する災害は、死亡など重篤な災害に繋がる危険性が高く、「事故の型別労働災害発生状況」(2017年)では、全産業の死亡者数の26%、死傷者数では17%という統計があります。また、死亡災害事故の半数をしめるのが「建設業」「製造業」。

一度発生すると極めて大きな被害につながる現場や作業では、それらの事故発生の危険性を知り、安全衛生管理への取り組みが不可欠です。

墜落

墜落とは、「こう配が40度以上の斜面上の落下」また、「身体が完全に宙に浮いた状態で落ちること」をいいます。例えば、建築・建造物、屋根、足場、固定はしごなど、急な傾斜からの落下。「高所作業中に足場を踏み外す」「屋根から滑り落ちる」などのケースがあります。

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転落

転落とは、「こう配が40度未満の斜面からの落下」また、「階段や坂道などに接しながら落ちること」をいいます。例えば、「はしごから落ちる」「階段から足を滑らせる」「傾斜のある床」などのケースがあります。

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転倒

転倒とは、「ほぼ、平面上で転ぶこと」をいいます。例えば、地面でつまずいたり、滑ったり、倒れたりすること。「床上の障害物でつまずく」「水や油ですべる」などのケースがあります。

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労働災害の発生状況

全産業での2017年「事故の型別労働災害発生状況」では、特に死亡につながる事故では、「墜落・転落」。産業別では、特に建設業や製造業が多く見られます。

全産業の死亡災害者数 [978 人] 墜落・転落 その他[238人] [258 人] 崩壊・倒壊[57 人] 26% 追突され [83 人] はさまれ・巻込まれ [140人] 交通事故 (道路) [202 人]
全産業の死傷災害者数 [120,460 人] 転倒 その他 [25,425 人] 切れ・こすれ 24% [28,310 Л] [7,760 人] 交通事故 ( 道路) 17% 墜落・転落 [7,885 人] はさまれ・巻込まれ [14,529 ] [20,374 人] 動作の反動・ 無理な動作 [16,177 Л]
業種別死亡災害件数 [978 件] 小売業・林業など -1. 建設業 その他 33% [323 件] [358 件] 3. 陸上貨物運送事業 [137 件] 16% 2. 製造業 [160 14]
業種別の死傷災害者数 [120,460 件] 小売業 運送など その他 [78,657 14] 1. 製造業 22% [26,674 件] 13% -2. 建設業 [15,129 14]

事故発生状況と主な原因(建設業・製造業)

死傷事故 発生状況 死亡事故 誘因 主な原因 起因物 (死傷者全体) 1. 階段・はしご・屋根など (うち墜落・転落 約70%) 2. 運搬機(トラックなど) (うち墜落・転落 約 40%) 3. 足場・脚立など (うち墜落・転落 80%) 1. 墜落・転落 5,163件 1. 墜落・転落 135件 1. 滑って 2. はさまれ・巻き込まれ 3. 切れこすれ 2. 交通事故 2. 自分の動作の反動 3. 崩壊・倒壊 3. 踏み外して 4. 飛来・落下 4. はさまれ・巻き込まれ 5. 転倒 6. その他 5.その他 1. はさまれ・巻き込まれ 2. 転倒 1. はさまれ・巻き込まれ 3. 墜落・転落 2,842件 4. 動作の反動・無理な動作 5.その他 2. 墜落・転落 28件 3. 交通事故 4.その他 1. 滑って 2. 踏み外して 3. 自分の動作の反動 1. 階段・作業床・踏み板など (うち墜落・転落 約23%) 2. 脚立・はしごなど (うち墜落・転落 約 38%) 3. 動力運搬機 (トラックなど) (うち墜落・転落 24%)

事故発生の作業ケース

発生すると重篤な事故につながる「墜落」「転落」。これらの事故発生に見られる作業には、「人がエネルギーとなって衝突する」ことが大きく影響すると考えられます。特に、高所での作業においては、常に大きな危険性が伴うことになります。労働現場での事故発生の可能性が高い、さまざまな作業ケースです。

はしご・脚立

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脚立作業

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可搬式作業台

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はしご道

タンク・マンホール(開口部)

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手すりのない開口部

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ズレ止めのないフタ

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タンク作業

高所(足場・作業台・屋根)

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作業台

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足場

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屋根

労働災害の「事故型」分類

  • No.1:人にエネルギーが暴走
  • No.2:人がエネルギーの活動区域に侵入
  • No.3:人がエネルギーになって衝突
  • No.4:人がエネルギーに包囲される

監修者紹介

 立花隆志 代表取締役社長 立花隆志 代表取締役社長
ティー・アイ・トレーディング株式会社代表取締役社長。大学院修了後、2010年に当社へ技術営業として入社。外資系メーカーとの提携や仕入先の新規開拓を担う一方、マーケティング戦路の立案にも従事。2016年に取締役、2019年に代表取締役に就任し、15年以上にわたり墜落防止 (フォールプロテクション)事業の最前線で活躍しています。米国のCompetent Person資格をはじめ、複数のメーカー主催トレーニングを修了するなど、安全対策や墜落防止技術に関する専門知識を体系的に習得。さらに、墜落防止のベストプラクティスを集約した「墜落防止ガイドブック」を作成し、現場の安全意識向上とプロフェッショナルの育成に大きく寄与してきました。専門誌への掲載実績も有し、業界の技術発展と安全対策の普及に尽力しています。「お客様の課題を解決することは、子どもたちが笑顔でいられる社会の実現につながる」という信念のもと、企業と社会へ包括的なコンサルティングを提供。現場の安全確保から組織の課題解決まで、幅広い視点で価値を創造し続けています。

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