5-1.安全基準について
欧米と日本の基準
欧米と日本の災害の傾向には大きな違いが見てとれます。例えば、欧米では日本と比べ災害発生率は高いものの、死亡や後遺症が残るような重篤な災害の発生率は低い傾向にあります
一方、日本は災害発生率は低いものの、死亡を含む重大な災害の発生率が高いといえます。これには、欧米と日本では、「安全に対する考え方の違い」が背景にあります。つまり、欧米の安全思想は、災害の重さを重視する強度率重視主義であるのに対し、日本の安全思想は、災害の総件数を減少することで死亡や重大な災害も減少するという考えの違いからくるものです。
墜落防止対策についても、欧米と日本の基準に違いが見られます。例えば、建設現場の足場について、安全基準では日本とEU(欧州連合)は同じ基準ですが、EUでは、さらに、墜落防止のため15cmの幅木の設置が義務化されています。しかし、日本の労働安全衛生規則では、墜落防止の幅木設置は義務づけられておらず、日本の規格は欧州規格であるEN規格ほど厳しくないといえます。また、ハーネスなどの墜落制止用器具の規格では、墜落の際の衝撃荷重限界値を日本では8kNに設定しているのに対し、EN規格では6kNと厳しい基準に設定されています。これは、欧州では100kgの物体を落下させたときに衝撃を6kN以内に抑えることを目標とし、日本では、85kgの物体の落下に対し8kNの衝撃を緩和。つまり、欧州の規格は、日本に比べ二重に厳しい設定となっています。
欧米と日本の安全の考え方の違い
日本と欧米の災害統計では、建設業の死亡事故に限ると、日本はドイツの約1.5倍、イギリスの約3.8倍というデータ。この結果には、日本と欧米の安全の考え方が関係しているといえます。
【日本と欧米の安全の考え方】
日本 | 欧米 |
---|---|
安全管理を徹底すれば、災害は防止できる | 安全管理を徹底しても災害は防止できない |
災害発生件数を低くすることを重視 | 災害の重さの程度の削減を重視 |
作業員の不安全行動が災害の主な原因 安全教育の徹底が必要 |
作業員の不安全行動があっても、重大な災害にならないよう、設備の安全化が必要 |
3M社について
T.I.Tradingで取り扱う安全器具は、すべて3M社製です。3M社(本社:米国ミネソタ州)は、サイエンスとイノベーションを活かし、環境保全、企業責任、社会的責任、経済発展、地球の持続可能性に貢献。墜落防止器具においても世界最大のメーカーとして有名です。その技術力は、日本製に比べ高い安全基準をクリア。業界で最も多くのエンジニアによる製品の信頼性と革新性に支えられ、世界各地の厳しい現場での導入実績を有しています
これまで、OSHA・ANSI・CSA・CE・AS/NZSの基準を超える安全性能と快適性の高い製品開発に挑み、数多くの「業界初」を生み出し、180以上の特許を取得。ハーネス、ランヤード、自立型ライフライン、およびエンジニアリングシステムなどの墜落労働災害防止用品の開発・製造で、業界をリードするソリューション技術は、DBI-SALA®およびPROTECTA®などのブランドで世界的に認知されています。また、「作業者を守る〜作業者と共に働き、守ってくれる製品〜」作業者が最も必要としている健康と安全を守る製品の提供という企業メッセージと世界中の企業・顧客からの評価が、3M製品の高いブランド力を支えています。