屋根作業の落下防止対策とは?現場の安全対策・墜落防止用具も解説

屋根作業の落下防止対策は、安全に作業を行うためにも適切な方法を取らなければなりません。屋根を含む高所作業中の墜落・転落災害は依然として高い水準です。国は高所作業中の労働災害を防ぐために、墜落制止用器具などの使用が義務付けられました。

この記事では、屋根作業の落下防止対策について解説します。屋根工事における法律と規定についてもまとめました。最後に墜落・転落災害防止に役立つおすすめの製品も紹介しています。ぜひ参考になさってください。

屋根作業のリスク

屋根作業の落下防止対策を講じるには、屋根の種類について理解しておかなければなりません。ここでは、屋根の種類ごとのリスク、高所作業におけるリスクについて解説します。

屋根の種類とそれぞれのリスク

屋根は使われている材質や形状が異なり、それぞれ特有のリスクがあります。一般的な屋根材で想定されるリスクをまとめました。

高所作業での一般的なリスク

高所作業は、風や天候など外的環境の影響を直接受けます。雨天は前日に予報を確認して予測や対策をとることができますが、突風などは予測がむずかしいこともあります。強風は作業を阻むだけではなく、屋根材や工具などが飛ばされるリスクもあるため、たいへん危険です。ほかにも、足元が不安定なために、踏み外してしまうケースもあります。そのため、足もとが不安定な屋根はしっかりとした安全対策を講じなければなりません。

安全な屋根作業のための落下防止対策

屋根作業を安全におこなうためには、屋根の状態を確認したうえで適切な対策をとる必要があります。作業前の準備と作業中の安全対策、トラブルが起きたときのフォローについて解説します。

作業前の準備

作業前に屋根の状態を確認し、安全に作業をするための装備などを整えます。

作業場所の確認と評価】

まずは屋根の状態を確認します。屋根材によって耐久性が異なり、経年劣化により傷んでいる箇所も異なるものです。屋根勾配が6/10以上の場合など、屋根面を作業床としてみなすには不適切な場合は、屋根用足場などの作業床の設置が義務づけられています。

単管足場は、構造の脆弱性から墜落・転落災害のリスクが高まります。厚生労働省では、足場に関する法定の墜落防止措置を定める労働安全衛生規則を改正し、足場からの墜落防止措置を強化しました。令和5年10月1日(一部規定は令和6年4月1日)からは、幅1メートル以上の箇所において足場を使用する際、原則として本足場の設置が義務づけられました。なお、幅が1メートル未満の場合であっても、可能な限り本足場を設置する必要があります。

作業環境を確認したら、天気予報をチェックして作業計画を立てていきます。

【適切な装備の選択】

屋根工事は「屋根工事用足場及び施工方法(JISA8971)」で規定されています。勾配にかかわらず足場が設置できない場合は、墜落災害を防ぐために親綱を設置します。

親綱は、メーカーが定める使用人数を守り、使用します。「移動はしご」は、幅30cm以上で丈夫な構造で、すべり止め装置・転位防止措置がとられたものを使用してください(労働安全衛生規則第527条)。

ほかにも以下のような機材・装備が必要です。

出典:厚生労働省「-足場の設置が困難な屋根上作業―墜落防止のための安全設備設置の作業標準マニュアルー」

高さ2メートル以上の高所作業で作業床を設けることが出来ない場合は、墜落制止用器具の装着と保護帽の着用が義務づけられています。そして事業者は、高さ2メートル以上の高所作業で作業床を設けることが出来ないところで、フルハーネス型の墜落制止用器具を用いて作業を行う労働者に対して、「安全衛生特別教育」を受講させる必要があります。また、高さが6.75m以上(建設業では高さ5m以上)でフルハーネス型の着用が義務付けられました。ただし、6.75m以下では胴ベルト型も使用可能です。

作業中の安全対策

作業中も踏み外しや工具の落下などがないように、適切な対策を講じなければなりません。

【安全な移動方法】

勾配のある不安定な場所で安全に移動するには、墜落制止用器具をしっかり親綱に接続して移動します。親綱は、メーカーが指定する作業員の人数を確認して運用しましょう。屋根作業では、垂直親綱固定ロープを設置することで「けらば」も含めた作業が可能となります。

墜落制止用器具は作業者の体格にあったものを選び、異常がないか確認したうえで正しく装着します。墜落制止用器具と親綱を接続するランヤード(命綱)の先には親綱に取り付けるためのフックがついています。屋根のうえにいるときは、基本的に墜落制止用器具と親綱をランヤードで接続して移動します。

工具と材料の安全な取り扱い】

高所から工具などが落下しないように、持ち運びや保管方法に注意しなければなりません。とくに手もと作業で使用する工具の落下は危険です。上下作業を禁止するのはもちろんのこと、防網を張ることで落下防止対策となります。

また、材料を屋根に置く場合は、足場板などを敷き詰めて、材料置き場の措置を行うことが大切です。

フォローアップ

屋根作業を終えたら、作業中のトラブルやアクシデントがなかったかどうかを振り返り、次回の作業では同じことが起きないように対策を検討しなければなりません。

【アクシデントとフィードバック】

万が一、死亡や重い後遺障害が予想されるような重篤な災害などは、直ちに所轄労働基準監督署に電話で報告します。そして、事業者は所轄の労働基準監督署長に「労働者死傷病報告書」を提出しなければなりません。

労働災害を起こさないためにも、現場の安全対策を日々見直して、洗い出した改善ポイントを共有し、対策を行っていくことが重要です。

墜落防止の法的背景

屋根作業時の墜落防止に関しては、労働安全衛生法と労働安全衛生規則で高さが2m以上の箇所では、作業床の設置が定められています。

屋根工事における法律と規定

屋根工事における墜落防止措置と墜落制止用器具の使用義務・基準は以下のとおりです。

【墜落防止措置のまとめ】

労働安全衛生規則では、高さ2m以上の場所で足場と作業床を設置したうえで、作業の端や開口部などの危険箇所には、囲いや手すりなどを設けることが定められています(安衛則第519条)。

2024年4月1日からは原則として本足場の使用が義務づけられますが、設置に必要なスペース(幅1m以上)が確保できないときも可能な限り本足場を使用しなければなりません。(安衛則561条の2)。

墜落制止用器具を使用するときは、安全に取りつけるための設備等を設ける必要があります(安衛則第521条)。

【墜落制止用器具(安全帯)の使用義務と基準】

作業者が使用する墜落制止用器具(安全帯)は、墜落制止用器具の規格を満たすものを使用します。

墜落制止用器具は、原則フルハーネス型を使用しますが、高さ6.75m以下であれば胴ベルト型が使用できます。胴ベルトは、万が一墜落した場合その衝撃は腰に集中し、落下の衝撃で身体(内臓など)に重大な障害を与える危険があります。一方、フルハーネス型なら、身体を保持するポイントが多いので、墜落時に受ける衝撃が分散され、体への衝撃が緩和されます。

屋根作業に用いられる落下防止用具

ここまで屋根作業における落下防止対策について解説してきました。屋根作業で使用する落下防止用具についてかんたんに振り返ります。

墜落防止用具のまとめ

【作業員が使用するもの】

  • 墜落制止用器具

胴ベルト型とフルハーネス型があります。フルハーネス型が原則ですが、6.75m以下(建築業5m以下)なら胴ベルトも使用できます。フルハーネス型は、肩ベルト・胸ベルト・腿ベルトで構成されており、背中のD還に命綱となるランヤードを装着します。

  • ランヤード

墜落制止用器具と親綱を接続するための用具です。衝撃を緩和するショックアブソーバがついており、製品によって巻取り機能を備えています。取付位置によって、種別が異なります。

  • 親綱

作業員の墜落制止用器具にランヤードを接続し、そのランヤードのフックを親綱に取り付けます。メーカーが指定する作業員数を必ず確認しましょう。

【フック、クランプ、アンカー】

  • フック

フックはロープを屋根に固定するために使用するものです。フック金具ともよばれており、屋根の軒先部分に直角になるように取り付けます。

  • クランプ

2つ以上のものを固定したり、押さえるための工具や装置です。

  • アンカー

アンカーは安全ブロックを取り付けるために使用します。屋根などに直接設置する方法が一般的ですが、状況に応じて移動はしごに取り付けることも可能です。

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屋根を含む高所作業の安全対策は、現場担当者の責務です。2019年からは、作業員への特別教育や墜落制止用器具の装着が義務づけられました。屋根作業においては安全帯を取り付けられない場合、作業することはできません。法改正により変わりゆく制度内容に悩んでいる担当者も多いことでしょう。

T.I.Tradingでは屋根作業時の落下防止対策に役立つ資料「墜落防止対策ガイドブック」を無料で公開しています。「どんな対策を講じればいいのかわらかない」「具体的に必要な装備は?」など、落下防止対策に関する不明点の解消に役立ちます。下記より無料でダウンロードいただけますので、作業現場の安全対策にぜひお役立てください。

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T.I.Tradingは設立より20年以上、墜落防止事業に取り組んでまいりました。世界中の優れた製品で日本の課題を解決することを目標に日々取り組んでいます。建設現場における労働災害でもっとも多い墜落・転落災害を防ぐには、適切な設備を備えることが大切です。

弊社で扱っている「常設用 墜落防止水平親綱 HLL」なら、高所作業の安全性を高めることができます。使用されているステンレス製ワイヤーケーブルは、欧米の安全規格に適合したものです。耐久性はもちろん、墜落時の衝撃緩和に大きく貢献します。(日本に同様の企画は存在しません)

構造物への負荷を軽減するデザインとなっているため、過酷な外的環境にさらされる屋根への設置も可能です。他にも弊社ではさまざまな墜落防止製品を扱っています。「屋根作業の安全性を高めたい」「法律に則った作業環境を構築したい」などのご要望にも対応いたしますので、お気軽に下記よりお問い合わせください。

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